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  • 花村嘉英 大連外国語大学栄誉証書

    2015年「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む」華東理工大学出版社
    2017年「日语教育计划书  面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用  日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」 南京東南大学出版社
    2018年「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社
  • 南京農業大学栄誉証書 花村嘉英 

    南京農業大学で開催された中国日本語教学研究会江蘇分会で「森鴎外の『山椒大夫』のDB化とその分析」と題して研究発表をした。(2014年)
  • トーマス・マンとファジィ

     Thomas Mann は、散文の条件として常に現実から距離を置く。一つには、現実をできるだけ正確に考察するために、また一つには、それを批判するために、つまり、イロニー 的に。…この批判的な距離は、イロニー的な距離になりうるであろう。実際、批判的な表現における簡潔さには、余すところなく正確に規定された概念言語の要求に対して、言語媒体そのものの特徴から反対の行動をとるある種の制限が設定されている。
     そして、ザデーはいう。正確さと複雑さは、両立が困難である。システムの複雑さが増すと、その振舞いについて正確ではっきりとした主張はできなくなってくる。例えば、現実の経済と関連したシステムの振舞いを推測することは、大変に難しい。
     つまり、トーマス・マンもザデーも、物事を深く正確に突き詰めていってもそこ には限界があり、逆に深追いしないことにより良い結果が得られることを主張している。そこで私のブログでは、ファジイ理論とThomas Mannのイロニーをさらに掘り下げて、両者の整合性を見ていくことにする。 そして、トーマス・マンの「魔の山」の購読脳の出力は、イロニーとファジィとし、これが横に滑って作家の執筆脳であるファジィとニューラルにたどり着くというストーリーである。本論では、ファジィは様相を拡大した推論であり、ニューラルは直感とする。

    花村嘉英(2005)「計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より

  • 中国から日本に伝わったことばや文化について-西洋との比較も交えて

     本論は、これまで留学や仕事で滞在したことがあるドイツと中国を中心に日本を交えた異文化コミュニケーションについて考えていく。内容は、2009年11月に武漢科学技術大学外語外事職業学院で行った学生向けの講演をまとめて書き直したものである。

    1 中国と日本の共通点

    【漢字の起源】
     最初に漢字の起源について見ていこう。河南省で出土した占いに使う亀の甲や獣骨の文字(紀元前1500年頃)が最古といわれている。その後、紀元前3世紀に秦の始皇帝が書体、篆書体を制定し、印鑑の字体などに使用されて実用化された。前漢(紀元前206年‐紀元後8年)の時代に隷書体が作られ、後漢(25年‐220年)末に楷書体に代わり、現在に至っている。
     印鑑の字体(印篆)は、秦の始皇帝が紀元前221年に天下を統一した際に作られた篆書体をもとにしている。秦や漢の時代からすでに官職には欠かせないものであった。字入れの際は、画数や運気を織り込みながら、八方に広がるように彫っていく。
     漢字の伝来は論語からといわれていて、朝鮮半島を経て遅くとも3世紀には伝わっていた。古墳時代(3世紀‐5世紀)には大和朝廷が350年頃全国を統一し、飛鳥時代(592年‐710年)には、聖徳太子(574年-622年)が701年に大宝律令を制定し、日本の国号が倭国から日本に変更された。奈良時代(710年-794年)には、元明天皇(661年-721年)が平城京に遷都して長安を模した政治都市を築き、天皇中心の中央集権国家を目指した。

    花村嘉英(2018)「中国から日本に伝わったことばや文化について」より

  • 花村嘉英 日本語教育からシナジー・共生を考える

    【論点】
     人文科学の研究者が取り組んでいるシナジー・共生のテーマとして、コーパスや機械翻訳が知られている。しかし、基礎編でも説明したように、文理を調節するための組み合わせは、他にも色々ある。以下では、筆者が取り組んでいるマクロの文学分析について話を進めていく。
     マクロの評価項目を地球規模とフォーマットのシフトにする。こうすると、どの系列に属していても溢れる人がいないからである。人文科学で地球規模といえば、東西南北にことばや文学を比較する研究が思い浮かぶであろう。また、縦に柱を作っていく実績だけだと、結局は文系脳とか理系脳になってしまう。そのため、共生を交えてフォーマットをシフトすることにより、文が主で理が副になるようなLのフォーマットを考える。人文科学以外の系列では、実務も交えてLのフォーマットが日常である。
     人文科学は、個人が個人の研究をすればよいため、縦に柱を作る。共生に取り組むにしても、文理の間にTの逆さの認知科学を置いて、縦に3、4本柱を調節していく。しかし、そういうフォーマットでは、ブラックボックスを消すことができない。手つかずの系列がなくなるように、何か研究のポイントを探してフォーカスを置くとよい。そうすると、横のスライドがスムーズになり、シナジー・共生の組み合わせが増えてくる。
     Tの逆さの認知科学の手法を崩して、縦に言語の認知を置いて、その出力が今度は入力になり、横に置く情報の認知を経て、何れかの数字や記号が出力となれば、Lのフォーマットができあがる。 
     以下で扱う論文は、基礎編と関連が取れるように、森鴎外の歴史小説群の中から誘発が強い作品(山椒大夫)と創発が強い作品(佐橋甚五郎)を題材にしている。それぞれLのフォーマットに乗るようにスーリーを作り、リレーショナルDBでそのポイントが説明できれば、一応の結論が得られるという流れである。
     作家の執筆時の脳の活動を探るというシナジーのメタファーに興味関心がある方は、是非、自分が好きな小説を使って考えてもらいたい。読んで思うという受容の作業とは異なり、人の目には見えないものが見えてくるという効果が期待できるからである。
     第一章は、2014年11月に南京農業大学で開催された中国日本語教学研究会江蘇分会で発表した研究内容であり、翌年に発行された論集に掲載された論文に加筆したものである。
     第二章は、DBを作成してからデータを分析する際に、組み合わせのみならずバラツキについても考察することが普通であるとして、書いたものである。
     一応、マクロの文学分析のためにサイクルを考えている。

    ①【地球規模】
    東西南北に、ことばや文学を比較する。鴎外、魯迅、トーマス・マン、ナディン・ゴーディマ。
    ②【フォーマットのシフト1】
    Tの逆さの認知科学を崩して、縦に言語の認知、横に情報の認知というLのフォーマットをイメージする。
    ③【フォーマットのシフト2】
    Lのフォーマットのストーリーを作る。縦横の出力がそれぞれ組になるように調節する。
    ④【フォーマットのシフト3】
    リレーショナルなDBを作成する。それぞれのカラムの説明が必要になる。作成後、組み合わせやバラツキについて考察する。
    ⑤ 再び①に戻る。

    花村嘉英(2017)「日本語教育のためのプログラム」より

  • 花村嘉英 魯迅とカオス 狂人日記

    【要旨】 
     「狂人日記」(1918年)から見えてくるカオス効果を題材にして「魯迅とカオス」というシナジーのメタファーを考察する。最初に認知言語学における一般的なメタファーの分析について考える。シナジーのメタファーは、その上位概念である。「狂人日記」が執筆された当時の中国は、内戦と列強国との戦いを繰り返す二重の戦争状態にあり、中国人民の振舞いは無秩序で不規則なものであった。
     主人公の狂人は、被害妄想に罹っているため、当時の中国人民が決していわないような社会批判を繰り返す。狂人が受け取る入力は、一般の人の入力と少しずれていると考えてもおかしくない。
     カオスの特徴は、文理を問わずどの分野でも非線形性と非決定論である。この2点を「狂人日記」から引き出すことができれば、作品を執筆している時の魯迅の脳の活動はカオスに通じることになる。作家の思いと人工知能が照合できれば、自ずと客観性が生まれる。

    花村嘉英(2015)「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む」より

  • 花村嘉英 大連外国語大学栄誉証書

    2015年「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む」華東理工大学出版社
    2017年「日语教育计划书  面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用  日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」 南京東南大学出版社
    2018年「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社
  • 栄誉証書 花村嘉英 南京農業大学

    南京農業大学で開催された中国日本語教学研究会江蘇分会で「森鴎外の『山椒大夫』のDB化とその分析」と題して研究発表をした。(2014年)