森鴎外の「佐橋甚五郎」でファイ係数を考える2

2 森鴎外の「佐橋甚五郎」でクロス集計表を分析する

表3
源太夫はこういう話をした。甚五郎は鷺を撃つとき蜂谷と賭をした。蜂谷は身につけているものを何なりとも賭けようと言った。甚五郎は運よく鷺を撃ったので、ふだん望みをかけていた蜂谷の大小をもらおうと言った。
甚五郎創発/行動2 源太夫創発/行動2

それもただもらうのではない。代わりに自分の大小をやろうというのである。しかし蜂谷は、この金熨斗付きの大小は蜂谷家で由緒のある品だからやらぬと言った。甚五郎創発/行動2 源太夫創発/行動2

甚五郎はきかなんだ。「武士は誓言をしたからは、一命をもすてる。よしや由緒があろうとも、おぬしの身に着けている物の中で、わしが望むのは大小ばかりじゃ。ぜひくれい」と言った。
甚五郎創発/行動2 源太夫創発/行動2

「いや、そうはならぬ。命ならいかにも棄ちょう。家の重宝は命にも換えられぬ」と蜂谷は言った。「誓言を反古(ほご)にする犬侍め」と甚五郎がののしると、蜂谷は怒って刀を抜こうとした。
甚五郎創発/行動1 源太夫創発/行動1

甚五郎は当身を食わせた。それきり蜂谷は息を吹き返さなかった。平生何事か言い出すとあとへ引かぬ甚五郎は、とうとう蜂谷の大小を取って、自分の大小を代りに残して立ち退いたというのである。
甚五郎創発/行動1 源太夫創発/行動1

連関を見るため、表3の数字を加算する。

花村嘉英(2021)「森鴎外の『佐橋甚五郎』でファイ係数を考える」より

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