シナジーのメタファーの作り方5


 さらに、テーマを分析するための組が必要である。例えば、ボトムアップとトップダウン、言語理論と翻訳の実践、一般(受容)と特殊(共生)、言語情報と非言語情報など。

表2 分析の組

分析の組           説明
ボトムアップとトップダウン  専門の詳細情報から概略的なものへ移行する方法。及び、全体を整える概略的な情報から詳細なものへ移行する方法。
理論と実践  すべての研究分野で取るべき分析方法。言語分析については、モンターギュの論理文法が理論で、機械翻訳が実践になる。
一般と特殊  小説を扱うときに、一般の読みと特殊な読みを想定する。前者は受容の読みであり、後者は共生の読みである。
言語情報と非言語情報  前者は言語により伝達される情報、後者はジェスチャーのような非言語情報である。
強と弱  組の構成要素は同じレベルでなくてもよい。両方とも強にすると、同じ組に固執するため、テーマを展開させにくくなる。

 このようにして、Lのストーリーとデータベースから組のアンサンブルを調節し、トーマス・マンの「魔の山」、魯迅の「狂人日記」と「阿Q正伝」、鴎外の「山椒大夫」と「佐橋甚五郎」について考察した。計算と文学のモデルは、こうした調節が土台になっている。

花村嘉英(2018) 「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1


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