シナジーのメタファーの作り方4


2.3 シナジーのトレーニング
 
 花村(2017)では、人文科学が専攻の人たちのためにシナジーのトレーニングとして組のアンサンブルを説明している。シナジーという研究の対象は、元々が組からなっているためである。例えば、手のひらを閉じたり開いたりするのも、肘を伸ばしたり畳んだりするのも運動でいうシナジーである。Lのモデルができるだけ多くの組を処理できるように、シナジーの研究のトレーニングとして三つのステップを考えている。
 まず、2.1に記したシナジーの組み合わせから何れかの組を選択し、研究の方向を決める。組み合わせについては、複数対応できることが望ましい。次に、選んだ組からLに通じるテーマを作るために、人文科学と脳科学という組のみならず、ミクロとマクロ、対照と比較の言語文学、東洋と西洋などの項目を考える。また、「トーマス・マンとファジィ」はドイツ語と人工知能という組であり、「魯迅とカオス」は中国語と記憶や精神病からなる組である。そこには洋学と漢学があり、また長編と短編という組もある。 

表1 テーマの組

テーマの組  説明
文系と理系  小説を読みながら、文理のLのモデルを調節する。
人文科学と社会科学  文献学とデータの作成または統計処理を考える。
言語と文学  対照と比較双方の枠組みで小説を分析する。
東洋と西洋  東洋と西洋の発想の違いを考える。例、東洋哲学と西洋哲学、国や地域における政治、法律、経済の違い、東洋医学と西洋医学。
基礎と応用  まず、ある作家の作品を題材にしてLのモデルを作る。次に、他の作家のLのモデルと比較する。
伝統の技と先端の技  人文・文化の文献学とシナジーのストーリーを作るための文献学(テキスト共生)。ブラックボックスを消すために、テキスト共生の組を複数作る。(人文と情報、文化とバイオ、心理と医学など)
ミクロとマクロ  ミクロは主の専門の調整、マクロは複数の副専攻を交えた調節。少なくとも縦に一つ(比較)、横にもう一つ取る(共生)。

花村嘉英(2018) 「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1


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