モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして16


 次に、これらに意味解釈モデル(M)を当て、例えば、(15)dに対しては、PaulとMariaが一緒にいる世界において、また(16)dに対しては、教師がまずゼミナールの参加者に回答を求め、その後、Paulを指名した世界において、それぞれの外延である真理値は0、ということになる。
 しかし、(15)dと(16)dの偽は、このような可能世界なり時間といった照応点の相関的な指示対象の変化からではなく、様相表現の持つ意味レベルでの階層の強弱関係から解かれるべきである。つまり、(15)dと(16)dがIL式に翻訳された時点で、それらの式を排除するような装置の設定をここでは目指している。この装置が意味公準(Bedeutungspostlate)である。

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして」より


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です