3.2 内包論理への翻訳
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の主語への係かり具合により生まれる曖昧性がモンタギュー流の内包論理、即ち、文が真となるための必要十分条件を設定し、規定できるかどうか検討していく。欲しい結果は、ILの翻訳により得られた式が上記の曖昧性を定義しうるということである。
尚、(20)は、Löbner(1976)における基本表現には含まれていないものから構成されている。しかし、範疇さえ考慮すれば問題はなかろう。(20)のILへの翻訳を考える。
(20)Heinrich fängt an zu singen. 1
△
Heinrich anfangen zu singen 3
△
anfangen singen 5
翻訳
1 in(anfangen(singen))∈ Heinrich ÜR1
2 in(anfangen(singen))∈{P|in(Heinrich) ∈P} ÜR1
3 in(Heinrich)∈{x|x∈anfangen(in(x∈singen))}} ÜR5
この翻訳式からなる意味解釈は、「意図性」が現れる。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より