上述した分類によれば、beginnen(範疇TrVv)は、主語外延動詞とされている。しかし、先にも見たように、この動詞には様相因子の振舞いいかんで2通りの意味が考えられることから、修正が必要になる。
即ち、beginnenが「あるプロセスの始まり」を表す場合は、確かに主語外延的な動詞と見なすことができる。しかし、「意図」をともなうと、前者に比してその表現内容に幅が生じ、主語内包動詞として振る舞うことになる。anfangen、aufhörenについても同様のことがいえよう。
<beginnen>様相因子
主語内的 → 主語内包的
主語外的 → 主語外延的
ここで対象としているのは、あくまで(20)の形(E0 (+Anim))であり、その他のものは、意識していないためである。無論、同形の文全てに2通りの読みがあるわけではない。例、Seine Schwester beginnt, alt zu werden. (主語外延的)
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より