5.2 中医学
東洋医学では、患者に証を診立てる。証とは、患者の心と体の状態を全体的に表すものである。西洋医学が消去法で病名を追い詰めていくのに対して、東洋医学は、身体全体を大きな有機体としてとらえ、連携しながら機能しているという心身一体の考え方で成り立っている。証を立てるために診察基準がある。
陰陽、虚実、寒熱、表裏という概念と体の働きを表す気、血、水(津液)を組み合わせて病態の性質や原因を表している。陰陽は患者の病態や体質を表し、虚実は体力や抵抗力を表す。また、寒熱は症状の性質を表し、表裏は病気が体のどこにあるのかを表す。
気、血、水(津液)は、気がエネルギー、生命力であり、血が組織や器官に栄養素を運び、水は、血以外の水分で、体液、分泌液、尿や浸出液である。
東洋医学の診断法は、望診、聞診、問診、切診の四診がある。望診は患者の外見を注意深く観察する方法であり、顔色、肌のつや、目の状態、歯茎の色、つめや髪の毛の状態を観察する。歩き方や座り方そして姿勢も診察に含まれる。聞診は、声のかすれ、咳、息切れ、痰、体臭、口臭などを目や耳で観察する。問診は、痛みや痒みが現れている症状を聞き出す方法である。汗をかくか、頭痛や肩こりはどうか、のどが渇くか、体がだるいか、尿の回数、月経や妊娠などを尋ねる。切診は、西洋医学でいう触診である。患者にじかに触れて判断する方法である。
【参考文献】
花村嘉英 中国から伝わった日本の言葉や文化について-欧州との比較も交えて(レポート) 武漢科技大学外語外事職業学院 2009
日本成人病予防協会 健康管理士一般指導員養成講座 テキスト4 ヘルスケア出版 2014
予防医学·代替医療振興協会 予防医学指導士養成講座テキスト 2015