上述の例が文章全体を否定するのに対して、部分否定の構文もある。例えば、not allやnot everyはものに対して用いられ、not alwaysはときやことに対して用いられる。(5)
(30)すべてのコンピュータが接続を必要とするわけではない。
(31)Not all computers require connections.
(32)すべてのコマンドをテストしたわけではない。
(33)Not every command was tested.
(34)英語のライティングではこのことが常に正しいわけではない。
(35)In English writing, this is not always true.
また、準否定詞や意味上の否定詞をまとめた間接的な否定詞の構文もある。前者には、seldam、rarely、hardlyなどがあり、後者には、only、rather than、free fromなどがある。まず準否定詞の例を見てみよう。(5)
(36)仕様書の書き手は、自分のことを滅多にライターだと思わない。
(37)The specification writer seldom considers himself a “writer.” (ピリオドの位置に注意すること。)(技術英語構文辞典)
(38)こうした状況はまれにしか起きない。
(39)Such condition will rarely arise.
(40)時間が殆どない。
(41)There is hardly any time.
(42)その計算はコンピュータなしには難しいだろう。
(43)The calculations would be very difficult without a computer.
(44)特種なアプリケーションソフトに必要でない限り、そのコマンドを使用しないこと。
(45)Don’t use the command unless it is necessary for a particular application software.
(46)全ての角は、特に指定されない限り面取りすることにする。
(47)All corners shall be chamfered unless otherwise specified.
「unless otherwise+過去分詞」は「特に~されない限り」という慣用表現である。例えば、unless otherwise required「特に要求されない限り」、unless otherwise noted「特に銘記されない限り」、unless otherwise instructed「特に指示されない限り」などが挙げられる。
花村嘉英(2015)「人文科学から始める技術文の翻訳」より