フランツ・カフカの「変身」で執筆脳を考える2


2 カフカの「変身」のLのストーリー

 フランツ・カフカ(1883-1924)は、プラハのユダヤ商人の息子として生まれ、裕福な家系で育った。しかし、キリスト教やユダヤ教への信仰に馴染まず、手塚(1981)によれば、根のない草である自分をつなぐ根底があるのかないのかが生涯の問いかけであった。因みに、ユダヤ教徒は、モーゼの法律に基づいてヤハウェを信仰し、イスラエルの人々のために神の国を現世に齎すメシアの登場を信じる。動物をモチーフにするカフカの作風は、有名であり、また、彼の文体が常に彼の実存を反映し、空想やユーモアにも動機づけに真実があるとする。
 「変身」(1915)では、出張係とその家族の輝きのない生活からでは深い洞察が得られないため、ある朝ゾッとするほどの不気味な害虫に姿が変わり目覚める主人公を作る。グレゴール・ザムザは、出張の係をしており、汽車の出発時間に間に合わないから早く起きろといった家族との他愛も無いやり取りで始まる。 

花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より

シナジーのメタファー1


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