花村嘉英 サピアの「言語」と魯迅の「阿Q正伝」7


 まず、阿Qの言語特性をまとめておこう。郑择魁(1978)は、「阿Q正伝」の言語特性として、①口語化(白話文)、②正確、鮮明で生き生きとした描写、③人物の高度な個性化、④中傷、ユーモア、婉曲表現、反語を挙げている。また、毛沢東も「阿Q正伝」が辛亥革命の失敗を反映しつつ、芸術の枠組みでこの革命の歴史的教訓を伝えていると述べている。

言語特性①
具体例 毛沢東が「阿Q正伝」に言及したとき、通俗化と口語化を特に評価した。 
言語特性②
具体例 肃然(粛然とした)、赧然(恥ずかしそうな)、凛然(厳然とした)、悚然(怖がる)、欣然(喜び勇んだ)などの形容詞を用いて、民衆の表情を正確で生き生きとはっきり描いている。
言語特性③
具体例 系図によると、阿Qは趙太爺の息子より三代上で、未荘村の地蔵堂に住む日雇い労働者である。辮髪は茶色だが、瘡禿げを気にしている。嗜好品は酒と煙草で、自尊心が強い。阿Qには勝利法があり、心の中で思っていることを後から口に出す。とりあえず都合よくものを考える。伝家の宝刀が忘却であるため、気分屋で、賭博のときは一番声が大きい。町へ行って金を稼いで戻ってきて、未荘村の人たちにその様子を語る。しかし、結局、町で盗みのプロに手を貸すコソ泥に過ぎなかったことがわかる。
言語特性④ 
具体例  自覚の足りない阿Qのことを描きながら、彼を覚醒させようとする。風刺の裏に作者の情熱と希望が隠されている。男女の掟に厳格であり、元来、真面目な人間である。国家の興亡の責任は、男にあるとする。

花村嘉英(2015)「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む」より


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