中日翻訳の高速化-比較言語学からの考察7


6 まとめ

 中日翻訳の高速化というテーマで、言語の知識や分野の背景知識の調節法について考察した。上記以外にも翻訳の高速化を考える上で覚えておくとよいテクニックはあるだろう。その点については、他の外国語との組み合わせを考慮に入れながら、極端に対照言語の研究にならないように調節していきたい。例えば、中国語を対象にして述べたことは、日本語に近い韓国語にも適応できると思われる。日韓は語順がほぼ同じで膠着語を表す「てにをは」に相当する語彙もあり、構文上双方に大きな違いはない。韓国語は日本人にとってハングル文字と発音を覚えれば、理解できることばである。
 翻訳者としてさらにレベルアップするには、言語の組み合せを増やすこともさることながら、分野を開拓していくことも必要である。そう思えば翻訳作業も一生の仕事になっていく。

参考文献

ゲーテ、W イタリア紀行 花村嘉英監修共訳 バベル出版 2010
花村嘉英 計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
金田一春彦 日本語・上下 岩波新書 1988
サピア、E 言語-ことばの研究序説 安藤貞雄訳 岩波文庫 1998
山本哲也、陈岩、于敬河 汉译日精编教程 大连理工大学出版社 2002

花村嘉英著(2017)「日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より


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