1.3 限定詞と名詞の呼応
(13)every man (14)*every men (15)*all man (16)all men
ここで、everyは非集合体の限定詞であり、allは集合体の限定詞となる。主語と動詞の呼応についても同じように考えることができる。
(17) Every student is/*are Chinese.
(18) All students *studies/study very hard.
一方、theとnoのような限定詞は、NUMBER値を指定しない。
(19) No/The teacher writes reports.
(20) No/The teachers work very hard.
VPとNPの呼応の素性は英語の場合、語彙の主要部の素性と呼応する。これを処理するために、ここでは呼応の素性を主要部の素性(Head Feature Principle)とはせず、代わりに異なる原理を設定することにする。意味の原理は、呼応の素性が属する意味内容を共有するようにNPに要求するため、NPは主要部の呼応を一緒に使用することになる。しかし、英語の場合は、動詞や動詞句の呼応が主語に相応するSUBCATの要素のインデックスに係るため、この要素がVPとその語彙の主要部(下位範疇化原理)により全体で共有される。
花村嘉英(2018)「ことばの呼応とその機能を比較する-英語、ドイツ語、日本語、中国語を中心に」より