モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして11


3 MGの様相表記

 R.Montague(1930-1971)が最も自然言語を意識したと想われるPTQ(The Proper Treatment of Quantification in Ordinary English)の中で、様相表現がどのように表記されているのかを示す。
 PTQでは、必然性や可能性などの様相概念が文に対する作用素と考えられており、先に見た様相論理系のうちS5を採用し、次のような規則を導入している。*

(12)統語規則
S1 a⊂Formelならば、F1(a)=notwendigerweise(a) ⊂Formel.
S2 a⊂Formelならば、F2(a)=möglicherweise(a) ⊂Formel.

 PTQの統語規則(S)は、S:a=F(a1,・・・, an)という形をしている。基本表現a1,・・・, anから複合表現aを生むFは、統語操作と呼ばれ、各表現にはカテゴリーの指定がある、。これらのカテゴリーは、個体を表すeと文を表すtにより規定される。例えば、自動詞は、t/eとなる。

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして」より


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