モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして3


 まず、可能世界を変化させる要因として時間が考えられる。過去と未来では事実関係などの変化により、命題の真偽が変わることがある。そのため、(1)のような時制演算子が導入されている。

(1)GA:未来において常にA。
HA:過去において常にA。
FA(=¬G¬A):未来の少なくともある一時点でA。
PH(=¬H¬A):過去の少なくともある一時点でA。

 GとHは、時間的な意味での必然性を、F、Pは、時間的な意味での可能性を表している。時間の論理では、通常、「地球は自転している」のように、その真偽が現状で発話時点に依存しない時間的に確定している命題は除外される。

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして」より


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