2.仏教との関わり
仏教については、6世紀中頃、朝鮮の百済から伝わったと日本書紀に書かれている。遣隋使、遣唐使による中国との交流のおかげで、奈良時代は仏教色が強く、寺院の建築様式にも中国からの影響が見られる。大陸建築の伝来により柱は円柱で礎石の上に立てられ、天井も屋根の下に水平に張るようになった。最古の例は、奈良にある聖徳太子縁の寺、法隆寺である。
中国に仏教が伝来した時期は、秦の始皇帝の時代より200年余り遅い漢の明帝時代(紀元67)とする学説が主流である。釈迦が没してから100年後の紀元前4世紀にアショカ王がインドを統一し、仏舎利を世界に送っている。それから150年経って、秦の始皇帝の時代になる。この説では、二大文化圏の中間にある中国西部地域に仏教がすでに伝来していたとし、シルクロードを通してヨーロッパと秦の都咸陽、及び漢の都長安は結ばれていた。西安の遺跡から出土した陶器には、ラテン文字と類似した符号が見られる。この学説は、言語学や考古学の資料を総合して発表されたこともあり、信憑性が高い。
花村嘉英(2018)「中国から日本に伝わったことばや文化について」より