【連想分析1】
表2 受容と共生のイメージ合わせ
A しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔よしとしなかった。 意味1 3 意味2 2 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1
B 共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである。己おのれの珠に非ることをおそれるが故ゆえに、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。 意味1 3 意味2 2 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1
C 己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己おれの場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。 意味1 3 意味2 2 意味3 2 意味4 1 AI1 1 AI2 1
D これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
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E 人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧きぐと、刻苦を厭う怠惰とが己のすべてだったのだ。 意味1 3 意味2 2 意味3 2 意味4 1 AI1 1 AI2 1
花村嘉英(2019)「中島敦の『山月記』の購読脳について」より