例えば、阿Qが飢えた狼の目を認識する際、まず連続した物体の存在認識が必要になる。阿Qの視神経は、狼の目の領域とそれ以外の空間から入力情報を受け取り、それぞれが同期と非同期の関係になる。狼の目は動くので、同期する場所は常に変化していく。そのため、同期と非同期は、速やかに処理されなければならない。「魯迅をシナジーで読む」では、カオスがこれを容易にすると考える。
「狂人日記」は、被害妄想を患う狂人が狂気から覚醒し食人を改心させようとして説得を繰り返す筋立てである。狂人の思いは、食人が一線(門)を越えることができるかどうかにある。一線を越えることができれば、本当の人間になれるからである。
私のブログでは、こうした意思決定のポイントを狂人の意識と照合しながら、カオスと関連づけて考えている。最初に述べたように、カオスには二つの基本的な特徴がある。一つは、振舞いが無秩序なために予想ができなくなる非線形性です。また一つは、入力が近似であるにも関わらず、出力が全く異なったものになる非決定論である。
花村嘉英(2015)「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む」より