「魯迅をシナジーで読む」の中では、認知言語学が処理するメタファーとして、①慣習のメタファー、②汎用のメタファー、③イメージのメタファーそして④詩のメタファーを認めている。①は「陽はまた昇る」のような日常経験を基にしているため、あまり意識されることなく使用される。②は「時間は空間である」といったメタファーのことであり、時空が表す出来事へと拡張される。例えば、「弟が眠っている」は「眠る」と「いる」により空間の中で弟の状態が継続的に捉えられる。③は文学作品に多く見られるが、慣習化の度合いが低いために、創造的なイメージがつきまとう。④は複数のメタファーが幾重にも同時に作用するため、少ない数のことばから豊かな表現が生まれる。
このブログでは、これらのメタファーの上位概念として、シナジーのメタファーを考えていく。伝統的な縦の研究は、AとBからA’とB’を出すことが目標である。一方、シナジーの研究は、AとBから異質のCを出すことが目標になる。シナジーのメタファーも通常の写像関係を踏襲し、Aが根源領域、Cが目標領域、Bはその写像という対応関係を取る。そして、シナジーの組み合せとしては、文学と論理計算を想定しているため、Aは人文科学、Bは認知科学、そしてCは脳科学になる。
花村嘉英(2015)「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む」より