魯迅とカオス(阿Q正伝)3


 次に、五感や記憶から意識・無意識までも交えて、阿Qが演じる「馬々虎々」に関連する言動を見ていこう。表3は、一対一の中文と和文ではなく、ストーリーを掴むための場面の対照表である。
 また、データの処理については、一応プロセスを設けている。阿Qの場合、解析イメージは、「記憶と馬虎」という組み合わせになる。これを「記憶とカオス」という生成イメージに近づけるため、場面を作業単位にしてL字の解析と生成を繰り返していく。阿Qの言動に関する主な入力と出力を確認していこう。

第1章 序
(1)
中文
我要做这一篇速朽的文章,便感到万分的困难了。第一是文章的名目。第二,我并不知道阿Q姓什么。第三,我又不知道阿Q的名字是怎么写的。第四,籍贯也就有些决不定。
和文
この一篇の朽ち易い文章を作るにあたり、甚だしく困難を感じた。第一に題目の設定が難しい。第二に阿Qの姓名が不明である。第三に阿Qの名がどういう字なのか分からない。第四に阿Qの本籍地も不明である。

花村嘉英(2015)「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む」より

シナジーのメタファー2


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