人文科学から始める技術文の翻訳9


 次に、意味上の否定詞を見てみよう。

(48)水はインパルスホイールの一部分にしか接触していない。

(49)Water is in contact with only a portion of an impulse wheel.(技術英語構文辞典)

ここでin contact withは状態を表し、「接触する」という行為や動作の場合には、contact withを用いる。(5)

(50)表面には酸化物のような膜がないこと。

(51)The surface is free from films such as oxides.

(52)私たちはレーザーではなく、LEDを使用している。

(53)We also use LEDs rather than lasers.

否定構文の最後は、技術文で頻繁に使用される慣用表現を見ていこう。頻度の高いものが参考になる。(5)

(54)入力信号が弱すぎてノイズの音を無視できない。

(55)The incoming signal is too weak to override the noise.(技術英語構文辞典)

本動詞の主語とto不定詞の主語が意味上一致している。

(56)鮮鋭度の実際の差は小さ過ぎて、人間の目には見えない。

(57)The actual difference in sharpness is too small for the human eye to see.

本動詞の主語とto不定詞の主語が一致していない場合には、too~to doの間にfor~を入れるとよい。ここでは、for the human eyeがそれである。(5)

(58)これらの回路は過渡速度を制限するだけでなく、切り替え速度も遅くする。

(59)These circuits not only limit transients but also slow switching speed.

(60)いかにプロセスが複雑であろうと、これは正しい。

(61)This is true no matter how complicated the process is.

「no matter+ how/what/which/where/whose/whether」などの関係詞を伴い、「いかに_であろうと」、「何が_であろと」「どれが_であろうと」「どこが_であろうと」「誰の_であろうと」「_であろうと_であろうと」という慣用表現の意味になる)

花村嘉英(2015)「人文科学から始める技術文の翻訳」より

日本語教育のためのプログラム


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です