森鴎外の「佐橋甚五郎」のデータベース化とバラツキによる分析1


【要約】

 マクロのバランスを調節するときの二個二個のルールに従い、リレーショナル・データベースに関して、組み合わせのみならず、平易な統計処理によるバラツキの分析も試みる。バラツキによる分析から得られた数字の意味は何なのか、それがこの小論の考察の対象である。 

1 先行研究との関係

 私のテキストの分析は、シナジーのメタファーを考察することである。最初に受容と共生からなるLのストーリーを作成し、次にそれを反映するリレーショナルDBについて分析していく。
 基本的に、「山椒大夫」(1914年)と同じ方法で、「佐橋甚五郎」(1913年)について見ていくことにする。すでに見たように、鴎外の執筆時の脳の活動を感情として、「鴎外と感情」というシナジーのメタファーを作成している。「山椒大夫」と「佐橋甚五郎」の違いは、前者が誘発の強い情動(外から内)で、後者が創発の強い情動(内から外)というところにある。両作品のDBを作成しながら、この点を比較、分析することがこの小論の目的である。

花村嘉英著「日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より

日本語教育のためのプログラム


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