リスク社会学の観点からマクロに文学を考える-危機管理6


4 データの収集と解析

 データの収集については、これまでにも国地域や作家そして作品の選択に拘りがあることを説明している。データの解析は、上記の作家群のデータベースを解析し、例えば、相関関係、特に、購読脳のある組と執筆脳のある組にどのくらい相関があるのか考察している。
 森鴎外の「山椒大夫」の相関の作り方を見てみよう。シナジーのメタファーのために作成しているデータベースは、データの種類で見ると、俗に言う測れないカテゴリーデータからなる。前野(2012)によると、数量データといわれる身長、体重、気温、湿度などとは異なり、値が連続ではなく飛び飛びで離散的となる。カテゴリーデータは、対象の性質を表したり、現象や区別を表している。好き、嫌い、うまい、まずい、おもしろい、つまらないなどあるものの性質や現象が示される。
 相関とは原因から結果が生じ、互いに関係し合っていることをいう。また、相関関係があるとは、ある測定値の変化に対して他の測定値も変化する場合に使われる。相関の強さは、ピアソンの相関係数で表す。合わせて共分散という統計用語が重要である。

(1) 共分散の公式
共分散=[(xの各データ-xの平均値)x(yの各データ-yの平均値)]の和/データ数
   =[(xの偏差)x(yの偏差)]の和/データ数
   = xとyの偏差積の和/データ数

花村嘉英(2019)「社会学の観点からマクロの文学を考察する-危機管理者としての作家について」より

シナジーのメタファー3


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