リスク社会学の観点からマクロに文学を考える-危機管理4


 小説のデータベースを作成するプロセスについては、これまで何度も学会で発表し、著作や論文の中で説明している。(花村2005、花村2015、花村2017、花村2018、花村2019)その際、狭義のシナジーのメタファーは、縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージとした。
 また、信号の流れは、縦横ともに何かの分析→直感→エキスパートである。双方の脳の活動は、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探すことによりマージができ、ミクロとマクロの中間にあるメゾのデータになる。そして、Lのイメージを安定させるためには、人文と社会、人文と情報、文化と栄養そして心理と医学さらにブラインドで社会とシステムといった共生の組み合わせが必要になる。
 この小論では、広義のシナジーのメタファーを考察するため、個々のデータベースを束ねたネットワークの構築とその評価について検討していく。例えば、危機管理者としての作家の執筆脳を社会学の観点から集団の脳の活動と見なし、人文科学が研究対象とする個人の脳の活動と組にする。
 社会学のデータ処理は、3つの段階がある。橋爪他(2016)によると、①アンケートや世論調査といった独自の方法を通したデータの収集、②集めたデータの背後に隠れている情報を見出すデータの解析、③質的データや量的データに対する社会学的な意義の提出が条件になる。(4データの収集と解析および5社会とリスクを参照すること。)

花村嘉英(2019)「社会学の観点からマクロの文学を考察する-危機管理者としての作家について」より

シナジーのメタファー3


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