1.2.2 ILの統語規則
ILのそれぞれのタイプの基本記号から構成された有意表現を生成する統語規則とは、次のように規定されている。
S1 それぞれのタイプτに対して抵抗は無限に存在する。
C0τ, C1τ, C2τ,・・・∈Katτ
S2 それぞれのタイプτに対して変更は無限に存在する。
V0τ, V1τ, V2τ,・・・∈Katτ
S1とS2は、定項、変項の導入規則、Katは、Hauptkategorie。
S3 挿入規則
σ0(x,y)=df「x(y)」 Katτ1τ2Katτ1→Katτ2
S4 等値規則
σ1(x,y)= df「(x=y)」 Katτ, Katτ
S5 論理記号に関する規則
σ2(x)=df「(~x)」 Kat t→Kat t
σ3(x, y)=df「(x ⋀ y)」
σ4(x, y)=df「(x ⋁ y)」
σ5(x, y)=df「x → y)」
σ6(x, y)=df「x y)」 以上Kat t, Kat t→Kat t
S6 普遍、存在限量子に関する規則
σ7(x, y)=df「∀x(y)」
σ8(x, y)=df「∃x(y)」 以上Varτ, Kat t→Kat t
S7 λ演算子に関する規則
σ9(x, y)=df「λx(y)」 Varτ1, Katτ2→Katτ1τ2
S8 内包、外延の演算子に関する規則
σ10(x, y)=df「in(x)」 Katτ→Kat sτ
σ11(x, y)=df「ex(x)」 Kat sτ→Katτ
S9 様相、時制演算子に関する規則
σ12(x, y)=df「□(x)」
σ13(x, y)=df「Fut(x)」
σ14(x, y)=df「Perf(x)」 以上 Kat t→Kat t
これらのILにおける統語規則には、それぞれに対応する形で意味規則が設けられている。ILにおける意味論とは、複合表現をこのような意味規則により解釈し、最終的にモデル理論に基づく指示対象(外延:Des = REF x 意味規則)に対応づける操作を施す。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より