1 論文の方向性-Lのストーリー
シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることを現状のレベルでまとめている。今後、統計処理など研究の技がさらに増えていくように日々精進していきたい。この小論ではナディン・ゴーディマ(1923—2014)の“The Late Bourgeois World(ブルジョア世界の終わりに)”を題材にする。
ヘンドリック・フェルブールト首相の在任時(1958-1966)は、アパルトヘイト全盛の時代で、政治や法律によって南アフリカ国民が強く拘束されていた。そのため、意欲や計画があっても挫折や頓挫は日常のことで、状況を打開するまでには至らない。
アフリカ民族会議や過激派のパンアフリカ会議と並ぶ白人による反アパルトヘイト運動、アフリカ抵抗運動も、その当時、何かと遅延行為を繰り返した。1964年7月の全国一斉捜査で活動家が逮捕され、その中にはアフリカ抵抗運動のリーダーもいた。福島(1994)によると、押収された文書や供述からアフリカ抵抗運動の活動であることが判明し、活道家らに禁錮10年前後の判決が出た。マックスは、転職を繰り返しながら、こうした白人のサボタージュ運動に初期の段階から参加していた。結局、死を選ぶため、社会に適応する能力がなかったことになる。
生活上の大きな変化やストレスが原因になる適応障害は、個人にとって重大な出来事、例えば、就学、就職、独立、転職、失業、結婚、離婚、転居、重病、死別などが症状に先んじて原因となる。本人の性格や考え方の癖、また、ストレスの感じ方も大きな影響を及ぼす。日本成人病予防協会(2014)によると、一般的に誰でもつらい出来事や思いどおりにならないこととか社会生活上のストレスにより、不安やイライラが強くなったり、憂鬱になったり、ときには投げ出したくなったりもする。しかし、適応障害の場合、ストレスに対する反応が強く現れ、精神的にも身体的にも特有の症状がみられる。
花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ」より