5 シナジーのメタファーのメリット
作家の執筆脳を探るシナジーのメタファーの研究は、①Lのストーリーや②データベースの作成、さらに③論理計算や④統計処理が必要になる。しかし、最初のうちは、ある作品について全てを揃えることが難しいため、4つのうちとりあえず3つ(①、②、③または①、②、④)を条件にして、作家の執筆脳の研究をまとめるとよい。以下に、シナジーのメタファーのメリットをまとめておく。
【メリット】
・作家の執筆脳を分析する際、定番の読みを再考する機会が得られる。
・データベースの作成は、作品の重読と見なせるため、外国語の習得にも応用できる。
・データベースに文系と理系のカラムがありリレーショナルといえるため、人の目には見えないものが見えてきて客観性が上がる。
・その際、フロントのカラムだけではなく、セカンドのカラムも考えると分析が濃くなる。
・形態解析ソフトなど新たにインストールすることなく、マイクロソフトのWordやExcelで手軽に取り組むことができる。
・データ分析により平易な統計処理ができるようになる。
・論理計算を習得すれば、言語文学に関する認知科学の知識が増える。
・作家違いでデータベース間のリンクが張れると、ネットワークによる相互依存関係も期待できる。
・人間の世界を理解するには、喩えだけでは不足があるため、作家を一種の危機管理者と捉え、相互に依存した人間の条件を分析していく。例えば、危機管理者としてのボーダーラインを設定する。
・作家の執筆脳は、世界中であまり研究対象になっていないため、研究に取り組めば、難易度の高い研究実績として評価が得られる。
・ブログやホームページを公開する際、複数の言語を使用しながら、世界レベルの研究実績として紹介できる。
例えば、シナジーのメタファーを外国語の習得に応用する際、エクセルファイルのカラムAに原文を順次入力していく。入力が終わったら、各行の原文を読みながら一行ずつ購読脳と執筆脳のカラムに数字を入れていく。これがリレーショナルとなり、単なる受容の読みとは異なるLの読みを提供するため、シナジーのメタファーを重読の一つに数えることができる。
また、非言語情報のジェスチャーに、例えば、顔の部位の表情を加えると、脳の電気信号の流れをつかむための判断材料になり、セカンドのカラムも意義あるものとなる。
花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より