投稿者: info@hana123.girly.jp

  • クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える7

    【連想分析2】

    情報の認知1(感覚情報)  
     感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、①ベースとプロファイル、②グループ化、③その他の条件である。
     
    情報の認知2(記憶と学習)  
     外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報は、またカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、①旧情報、②新情報である。

    情報の認知3(計画、問題解決、推論)  
     受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、①計画から問題解決へ、②問題未解決から推論へである。

    花村嘉英(2022)「クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える」より

  • クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える6

    分析例

    1 路面電車の駆動車について語る場面。   
    2 この小論では、「路面電車」の執筆脳を「回転とシーケンス」と考えているため、意味3の思考の流れ、回転に注目する。   
    3 意味1①視覚②聴覚③味覚④嗅覚⑤触覚 、意味2 ①喜②怒③哀④楽、意味3関心①あり②なし、意味4振舞い ①直示②隠喩③記事なし。    
    4 人工知能 ①回転、②シーケンス。   
     
    テキスト共生の公式   
     
    ステップ1 意味1、2、3、4を合わせて解析の組「車窓から浮かぶ客観的な事実と時空の交錯」を作る。
    ステップ2 ヌーヴォー・ロマンの作家の特徴から語りの様子を考慮して、「回転とシーケンス」という組を作り、解析の組と合わせる。

    A ①視覚+④楽+②なし+①直示という解析の組を、①回転+②シーケンスという組と合わせる。
    B ①視覚+④楽+②なし+①直示という解析の組を、①回転+②シーケンスという組と合わせる。
    C ①視覚+④楽+①あり+①直示という解析の組を、①回転+②シーケンスという組と合わせる。 
    D ①視覚+④楽+②なし+①直示という解析の組を、①回転+②シーケンスという組と合わせる。
    E ①視覚+④楽+②なし+①直示という解析の組を、①回転+②シーケンスという組と合わせる。   

    結果  表2については、テキスト共生の公式が適用される。

    花村嘉英(2022)「クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える」より

  • クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える5

    【連想分析1】

    表2 受容と共生のイメージ合わせ
    路面電車の駆動車の説明

    A La motirice du tramway mesurait environ sept mètres de long, les parties avant ou arrière par lesquelles on y avait accès et où se trouvait, soit dans un sens soit dans l’autre, la cabine du wattman était faite de tôles d’acier et peinte en jaune, la partie médiane où s’asseyaient les voyageurs sur deux banquette de lattes verticales de bois verni, marron. 意味1 1、意味2 4、意味3 2、意味4 1、人工知能 2

    B Au-dessis des bitres cpuraient ces deux longs panneaux publicitires qui l’encadraient comme deux oreilles, celui de gauche vantant les mérites du cirage (ou était-ce une marque de pâtes alimentaires? – je ne sais plus) Eclipse où, à l’une des extrémités, était effectivement figurée une lune au visage souriant cachant aux troix qurats la face d’un soleil pleurard, 意味1 1、意味2 4、意味3 2、意味4 1、人工知能 2

    C publicitésque l’on pouvait pouvait voir par ailleurs peintes en divers endroits réservés en ville ou ailleurs, sans le lesquels elles s’étalaient, les plus fréquentes étant celles de <>, le nom SUZE en lettres monumentales jaunes au relief figuré en soir sur fond vert olive, ce qui, le temps et la patine aidant, atténuant l’éclat criard des couleurs primitives, s’accordait assez plaisamment dans une grisaille uniforme, 意味1 1、意味2 4、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

    D le nom SUZE en lettres monumentales jaunes au relief figuré en noir sur fond vert olive, ce qui, le temps et la patine aidant, atténuant l’éclat criard des couleurs primitives, s’accordait assez plaisamment dans une grisaille uniforme, et concurremment BYRRH, en lettres tout aussi monumentales mais blanches (et également en faux relief) sur fond rose; 意味1 1、意味2 4、意味3 2、意味4 1、人工知能 2

    E publicités en quelque sorte sauvages, échappant à tout règlement (ou tolérées moyennant dessous de table – les fabricants de cet autre apéritif, acheteurs dans le pays d’énormes quantités de vin constituant une véritable puissance locale, quasi féodale), à la fois d’une agressivité et d’une amusante naÏveté (comme ces visages d’astres souriants ou pleurards), 意味1 1、意味2 4、意味3 2、意味4 1、人工知能 2

    花村嘉英(2022)「クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える」より

  • クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える4

    3 データベースの作成

     データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
     こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容はそれぞれの言語ごとに構文と意味の解析をし、何かの組を作ればよい。しかし、共生は作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

    【データベースの作成】

    表1 「路面電車」のデータベースのカラム

    文法1 態 能動、受動、使役。
    文法2 時制、相  現在、過去、未来、進行形、完了形。
    文法3 様相 可能、推量、義務、必然。
    意味1 五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
    意味2 喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。
    意味3 思考の流れ 客観描写ありなし。
    意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
    医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。購読脳「海と戦う老人と海という好敵手」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。  
    情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
    情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報については、カテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
    情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
    人工知能 客観描写と調和 エキスパートシステム 客観描写とは、作家が主観を表さず観察したままを描くこと。調和とは、うまくつり合い全体が整っていること。

    花村嘉英(2022)「クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える」より

  • クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える3

     シモンなりに、彼の書き方で自らを現代性の中に組み込むことで革命を目指した。その際の頭の使いようは、閉じた曲線を辿り同一点を繰り返し通過する動体の運動を伴った回転といえる。思考の線は、大きな主題の間を自在に逸脱し、小さな主題に立ち換える。
     「路面電車」の舞台は、マヨルカ王国の首都ペルピニャンである。クロード少年は、通学で路面電車を利用していた。書き出しは、路面電車の運転台の様子(Rester dans la cabine au lieu d’aller s’asseoir à l’intérieur sur les banquettes, semblait être une sirte de privilege non seulement pour mon esprit d’enfant)やそこから見える風景について延々と連なるシーケンスである。一人語りでは決してなく、設計図に基づいた饒舌体といえる。車窓の風景には病院や養老院が登場し(se rendait à l’hôspital ou l’hospice, ou maison de retraite)、80歳を過ぎて肺炎による高熱で病床で喘ぐ(Toujours, je suppose, par l’efffet de cet état fiévreux qui me donnait l’impression d’être enfermé)老いたシモンもそこにいる。何年もの年数の経過が対立カテゴリーの共存や移動とともに時を重ね、螺旋状の回転により連なる長い文章がシモンのダイナミズムである。
     文章の間を隙間なく埋めるがごとく、括弧書きの箇所が非常に多い。シモンが執筆中にふと思うことなのであろうか。様々な記憶を巡せるうちに浮かぶこともできるだけ詳述するように心掛けている。これもまたヌーヴォー・ロマンの作家たちに共通する特徴にしたい。
     そこで「路面電車」の購読脳は「車窓から浮かぶ客観的な事実と時空の交錯」、執筆脳は「回転とシーケンス」、そしてシナジーのメタファーは「クロード・シモンと記憶の時間」にする。

    花村嘉英(2022)「クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える」より

  • クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える2

    2 Lのストーリー

     クロード・シモン(1913-2005)の「路面電車」は、晩年に書かれた小説である。アフリカ南部の島国マダガスカルで生まれ、フランスの古都でワインの産地ペルピニャンで育つ。第一次世界大戦から第二次世界大戦の終わりまでは、四半世紀に渡り世界のどこかで戦いがあり、経済も混乱していた。シモンは、イギリスに留学し勉強するも竜騎兵として招集され、戦争に巻き込まれる。その後、脱走し、レジスタンス活動に参加する。
     1945年、処女作「ペテン師」を発表し、執筆活動に従事する。前衛的な小説群といわれる、ル・モンド誌の造語ヌーヴォー・ロマンの旗手として注目される。平岡(2003)によると、ヌーヴォー・ロマンは、小説を改革するための技巧上の工夫のみならず対象世界に立ち向かう態度の新たな浄化であり、対象世界を言語化以前の状態で言語化するという試みに挑戦する論理の模索である。一方、あまりに技巧に走り、小説を息苦しくした結果、小説の息の根を止めてしまうこともある。しかし、早く読める小説だけを小説と呼ぶぐらいならば、 ヌーヴォー・ロマンは、小説と呼ばれなくてもよい。
     また、ヌーヴォー・ロマンの作家たちは、ただ目に写る耳に聞こえるままの対象の姿や音を写生しながら、事物を繊細に描写する。例えば、路面電車(la mortice du tramway mesurait environ sept mètres de long, les patries avant ou arrière par lesquelles on y avait accès et se trouvait, soit dans un sens soit dans l’autre, la cabine du wattman était faite de tôles d’acier et peinte en jaune, la partie médiance de bois se faisant face était, à l’extérieu, recouverte de lattes verticales de bois verni, marron. P86)意識や心理を含めた対象世界を凝視し、細密化することから物語が分泌される。それからお決まりで唐突な場面転換が来る。
     例えば、シモンの場合、拡散的断章構成の実験がつきものである。シニフィアンとシニフィエの分離による逸脱で、志が画家であったこともあり、場面を彩る色彩の逸脱も画家の発想に近い。表象と意味で見ると、病人には大人g扱うことばの意味は理解できないとある。(un malade est tenu pour un mineur, sinon même un enfant, aux capacités mentales diminuées au point qu’il n’est plus capable de prendre des decisions ni même saisir le sens des mots employees par les adultes…p111)

    花村嘉英(2022)「クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える」より

  • クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える1

    1 はじめに

     文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
     執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875-1955)、魯迅(1881-1936)、森鴎外(1862-1922)に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923-2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。 
     筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。言語の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なおLのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
     なお、メゾのデータを束ねて何やら予測が立てば、言語分析や翻訳そして資格に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

    花村嘉英(2022)「クロード・シモンのLe Tramway(路面電車)で執筆脳を考える」より

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